既に、競合のソフト会社に決まっていたお客様のところに、営業のチャンスを得たことがあった。決まってはいたが、他社の情報も知っておかなければということで、当社の製品説明の話しをさせてもらった。きちんと話に耳を傾けてもらえて、ソフトの部分での評価を得ることができた。
他社に決まっていたことと金額の部分で問題もあり、次回チャンスがあればまた交渉する旨を社長に報告したところ、社長から「そういう会社こそコダマの製品を必要としている」「本当に使っていただきたい会社には価格を度外視してでも使っていただきましょう」と。
その時から、Yの営業に関する考え方が大きく変わった。
次の日に、アポなしで交渉に向かった。既に決まっていたはずの交渉がふたを開けてみたら難航していた。水はこちら側に向かって流れ始め、「金額面が折り合えば」という話しに決着した。
金額的に厳しい部分はあったが、社長の後押しを胸に、極端に言うと「後で始末書になっても辞さない」という覚悟で契約を遂行した。今でもそのお客様との繋がりもあり、増設の話しももらっている。
物事は進まない選択をとるか、無理してでもやってしまうか、そのちょっとした境で、進むを選んだことで結果が開けたということだ。
本社との連携は電話とメールによってだが、「密」を心がけている。
遠隔地なので、運転中にイヤホンを使い電話をして、書類関係を代筆してもらったり、メールを転送してもらったり…。
本社の事務手続きに関しては、指示を明確に出すことによってスムーズに進捗している。技術のプレゼンの作業などは、遠隔地では、顔を合わせての打ち合わせができないので、厳しい部分もある。
そういったところは、お客様の希望に合わせて動けばいいとYは考える。
技術から営業に転身したからこそ目指していることがある。エリア開拓という部分を意識した営業をしてきた。今後はマネージメントに力を入れていきたいと力説する。人を育てて、成果を出すということが求められているのではないかと思うからだ。難しいが、成果を拡大させるには重要な課題に違いない。広島に人材を増やすということも現在、検討されているところだ。広島に関しては、今、口数が足りずに出来ていない部分も多々あるのだ。
現在、コダマの知名度という点では、関西から西のエリアでは希薄な傾向で、大阪までといった印象が否めない。Y自身はエリア開拓者として、意識をしてきたからには、西のエリアでも業界ナンバーワンを目指したいと胸を広げる。
そうすることが、技術から営業へ転身し、2回目の入社に導いた社長の期待に応え、「日本のモノ作りを変える」という意思を遂行することにも繋がると確信しているのだ。
※ストーリーに登場する、名前・社名は 架空のものですが、内容は事実に立脚して編集しています。